ダイバーシティ&インクルージョンを理解し、 働き方や働く環境を見直してみませんか。 ダイバーシティ&インクルージョンを推進・実践し、従業員を幸せにする方法とは!?
多様な働き方が求められるようになってきた昨今、
多くの企業においてダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みは
「やった方が良いこと」から「やらなければならないこと」に変わってきています。
日本でも組織の多様化は徐々に進んできています。
しかし、ただ単に多様な人材を雇用するだけでは不十分で、個人の多様性を最大限に活かし、
組織の成果につなげる包容力が企業には求められてます。
今回は、なぜダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が必要なのか、
そのメリットやポイントなどをご紹介し、実際に皆さまの自社のオフィスでの取り組みにつながるヒントを見つけて頂ければと思います。
目次
Ø 1.企業における、“ダイバーシティ”とは
Ø 2.企業における、“ダイバーシティ&インクルージョン”とは
Ø 3.ダイバーシティ&インクルージョンのメリット
Ø 4.LGBTQからダイバーシティ&インクルージョンを考える
Ø 5.オフィスにおけるD&Iへの取り組み事例
Ø 6.オフィスにD&Iを浸透させるポイント
1.企業における、“ダイバーシティ”とは。
多様性を意味する、“ダイバーシティ”という言葉自体は、昨今の日本でもすっかり目立つようになり、
ビジネス用語としても一般的になりつつあります。
そもそもダイバーシティとは、人種・性別・嗜好・価値観・信仰などの違いを受け入れ、
多様な人材が持つ可能性を発揮させようとする考え方です。
1960年代のアメリカに端を発し、現在では日本においても広く浸透してきました。
ダイバーシティには、
「表面的なダイバーシティ」と「深層的なダイバーシティ」と大きく分けて2つの意味が存在します。
表面的なダイバーシティとは、自分の意志では変更することができない、もしくは変更が難しいものです。
外見で識別できるものが多く、「目に見えるもの」として表面的なダイバーシティと呼ばれています。
一方で深層的なダイバーシティは「目に見えにくいもの」です。
外見での識別が難しいのが特徴です。
表面的なダイバーシティは、雇用の公平性など企業の社会的責任に影響するのに対し、
深層的なダイバーシティは多種多様な人材を生かすことで企業の成長に結びついていきます。
企業において、年齢や性別、キャリアや価値観などが異なる人材を登用し、
個々の能力を最大限に生かす取り組みを行うことを「ダイバーシティを推進する」と表現します。
例えば以下のようなことが、ダイバーシティの推進に当たります。
・女性活躍のための支援をし、女性管理職の比率を増やす
・障がい者雇用の促進をする
・LGBTQやダイバーシティ、偏見に関する研修を実施する
・シェアオフィスやワーケーションの導入で、就労場所の選択肢を増やす など
これらを企業で推進することで、優秀な人材の確保や生産性向上といった効果が期待できます。
2. 企業における、“ダイバーシティ&インクルージョン”とは。
ダイバーシティに近い用語に、インクルージョンがあります。
インクルージョンとは「包括」を意味し、発想や考え方、思想といった個々の内面的な特性が、
十分に生かされた企業活動が行われている状態です。
ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様性を認識するだけではなく、一人ひとりが受け入れ、認め合い、
尊重することによって個人の力が発揮できる環境を整備したり、働きかけたりしていく、という考え方です。
企業においてのダイバーシティ&インクルージョンは、多様な従業員が活躍できる環境を生み出すことを指します。
全従業員にとって自己の尊厳を守る重要なテーマであり、国内外問わず様々な企業において注目されており、
日本でもさまざまな企業がダイバーシティ&インクルージョンの推進に積極的に取り組み始めています。単純に国籍や性別、
年齢が異なる人材を集めるだけでは、企業が直面している課題を解決することはできません。
企業がダイバーシティを推進するためには、個人の力を最大限に生かす“インクルージョンの実現”が必要です。
ダイバーシティ推進と多様性を生かすインクルージョンの取り組みをセットで行なうことが非常に重要だということです。
3.ダイバーシティ&インクルージョンのメリット。
社会的に見てもダイバーシティ&インクルージョンの注目度および関心は極めて高いと言えます。
企業イメージを向上させるために取り組まなければならないという理由もありますが、
企業の持続的な成長に向けても不可欠な要素になっています。
ダイバーシティ&インクルージョンが企業にもたらすメリットを下記に紹介していきます。
(1) 企業のイメージアップ
個人の働き方やワークライフバランスが重視される現代において、
ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業は多方面から評価されやすいです。
例えば、厚生労働省はダイバーシティ推進事業の公式サイトで優れた取組事例を公表しています。
また、積極的に施策を進める企業は、大手のネットメディアで取り上げられる例も多く、
このような形で一般消費者の目に留まれば、「ここの商品を購入したい」「いい会社だな」と感じてもらえるきっかけとなります。
(2) 優秀な人材の獲得
日本の企業がダイバーシティに目を向け始めた理由の一つは、少子高齢化による労働力減少、人材不足です。
性別や国籍、年齢にこだわらず、有能な人材を雇用し、
教育することで、企業は優れた人材を確保し、能力を最大限に活用できます。
また、ダイバーシティ&インクルージョンは従業員の働き方に直結する施策であり、
積極的に取り組むほど労働環境が改善されていき、働きやすい企業として有名になれば、
求職者や新卒者も「この会社で働きたい」と感じ、優秀な人材の獲得にもつながっていくことでしょう。
(3) 社員のモチベーション向上
ダイバーシティ&インクルージョンは、すでに働いている従業員にも大きく関わってきます。
例えば、ダイバーシティ&インクルージョンの施策を通してキャリアアップの可能性が広がれば、
全体のモチベーションや生産性がアップすると考えられます。
ただし、経営者や上層部が独自に施策を進めるだけでは、新たな企業文化はなかなか生まれていきません。
研修などによって周知や共有を徹底し、従業員にも当事者意識をもってもらう必要があります。
意識改革を行ない、多様な人材の才能を活用するための職場づくりが進められれば、
従業員は自己成長と必要性を感じ、一層努力するといった好循環が生まれていきます。
(4) 離職率の低下と定着率のアップ
現代、企業の抱える課題の一つとして、若年層の離職率の高さによる人材不足があります。
しかし、ダイバーシティ&インクルージョンが進展することで、社員の満足度が向上し、離職者が減ることも期待できます。
個人の力を最大限発揮できるように、従業員を適材適所に配置できれば、
長期的なキャリアと貢献への意欲が高まり、従業員は幸福度や充実感を得やすくなります。
つまり、会社に対する不満・不安を軽減できるため、
ダイバーシティ&インクルージョンは「離職率低下」や「定着率アップ」の効果も期待できるということです。
(5) イノベーションの創出につながる
多様性を受け入れられる組織は、多様な人材のアイディアや発想、
もち得るスキルが統合され、組織全体でイノベーションを生み出す力が高まります。
似通った人材の集まる同質的集団と比較すると、発想力、柔軟性、品質、スピードともに向上する傾向があります。
様々な性別、年齢、人種の多様な人材が集まれば、組織内に存在しなかった価値観や視点を与えることにもつながるため、
イノベーションの可能性を高められます。
発想力、柔軟性、品質、スピードの向上により、多様化する顧客ニーズに対してタイミングを逃さず仕掛けることが可能です。
また、多様な価値観はマーケティングの戦略立てにも役立ちます。
女性の視点から既存商品の女性向けアレンジ・展開をおこなう、海外出身者の視点から自社サービスの国外市場における価値を発見するなど、
自社事業への新展開も期待できます。
ただし、このような環境を整えるには、誰しもがアウトプットしやすい雰囲気を作り出すことが重要で、
一人ひとりの従業員が発言しやすくするために、より積極的なインクルージョンを意識する必要があります。
4. LGBTQからダイバーシティ&インクルージョンを考える。
日本においてダイバーシティ&インクルージョンがこれまで以上に重要視され始めている背景には、
LGBTQへの関心や働き方への変化などの影響もあるかと思います。
LGBTQも当事者だけの問題ではなく、LGBTQも含むかたちでダイバーシティ&インクルージョンは全従業員にとって、自己の尊厳を守る重要なテーマとなっています。
LGBTQに限らずマイノリティへの配慮がある職場は「多様な社員の存在」が認められている環境であり、
今日ではアメリカだけに留まらず、世界の多くの国でワークプレイスを中心に、LGBTQの個人を尊重する文化を確立していこうとする流れが見られています。
LGBTQへの取り組みがうまくいっている職場には、従業員同士のコミュニケーションが活発で、
職場で笑顔が多いという共通点があるようです。
そんな環境では、従業員が職場で悩みや意見を言いやすく、またハラスメントや差別的な言動があっても誰かが指摘でき、
それが円滑な人間関係や働く意欲、会社のリスク回避にもつながり、ひいては生産性の向上にも貢献していくのです。
マイノリティへの配慮が結果的に、
マジョリティの従業員にとっての働きやすさ、企業の持続的な発展、“全従業員の幸せ”につながっていくのです。
5.オフィスにおけるダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み事例。
ここからは具体的な取り組み事例をご紹介します。
どのようにダイバーシティ&インクルージョンを実践していくことが出来るのか、
施策を検討する際の参考にしてみてください。
●オフィスをユニバーサルデザイン化する
オフィスのユニバーサルデザイン化は、
ダイバーシティ&インクルージョンの実現として有効な手段の一つです。
ユニバーサルデザインとは、年齢や国籍、障がいに関わらず、
全ての人が利用しやすいように設計された環境や製品のことを指します。
たとえば、ユニバーサルデザインの重要な要素として、車いす利用者でも動きやすい動線設計や動きやすい通路幅を用意することは大切です。
また、車椅子対応の床材やデスク導入も有効です。デスクの高さを調整できるようにすることで、
様々な身長や体形の従業員が快適に利用することが出来るようになります。
また、仕事をする上での様々な情報を視覚的な工夫で分かりやすくピクトグラムで表示をしたりと、
誰に対しても必要な情報が簡単に理解できる環境にすることも大切です。
ダイバーシティ&インクルージョンの一環として、オフィスのユニバーサルデザイン化を検討し、
全ての人が働きやすい職場環境構築を検討してみてはどうでしょうか。
●働きやすさを実感できる、「働き続けられる」制度を設ける
人事制度の観点から、従業員一人一人が「働き続けられる」制度を導入し、
支援することもダイバーシティ&インクルージョンの実現のために有効です。
従業員がライフスタイルと仕事の両立を難しいと考え、離職してしまうケースは少なくありません。
従業員一人一人ののライフスタイルを尊重できる制度が求められます。
例えば、育児や介護があるためこれまで同様に出勤できないという従業員が居ても、
フレックスタイム制や在宅勤務、時短勤務が適用できれば離職をしないで済みます。
また、産休制度などの整備も重要です。
多様な人材を雇用するという意味では、中途入社の従業員が組織に馴染みやすくすることも必要な施策です。
中途入社では「社内用語がわからない」「社風(どんな人が多いか)がわからない」
「ほかの人がどんな仕事をしているのかわからない」の『中途入社者3大わからないの壁』があります。
そのため、中途入社者が「受け入れられている」と感じられる機会を積極的に作っていくと良いかもしれません。
また、制度と合わせて「組織風土」を育てることも重要です。
出産前や育児中の従業員同士が情報交換や日常会話を行えるようなコミュニティや、
育休制度の説明会に実際に取得した従業員が出席する等、
多様な働き方をしている例を実感できる場づくりを支援することも並行して行うとよいでしょう。
ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みの一環として、柔軟な働き方を認められる制度を構築しましょう。
●オフィスカラーに配慮した「目にやさしいオフィス」にする
オフィスの壁や家具に使用するカラーの配慮も、
ダイバーシティ&インクルージョンの実現のうえでは重要な要素となります。
視覚障がい者の方々にとって真っ白な色は刺激が強く、必要以上の眩しさを感じる要因となります。
より刺激の薄い色味の壁紙や家具を選び、目に優しい環境を作ることが大切です。
クリームホワイトなどの優しい色味を選ぶようにしましょう。
更にブラウンカラーや木目調の色合いも目に優しく、
ダイバーシティ&インクルージョンに則ったオフィスづくりに役立ちます。
明るさや暖かさなどの印象を与えることもでき、
多くの人が落ち着いて働けるオフィスデザインにもつなげられるでしょう。
照明器具もグレアを感じないような器具を採用することが重要です。
●宗教の多様性に配慮したオフィスづくりをする
宗教の多様性に配慮・対応したオフィスづくりというアプローチ方法もあります。
多様性のなかでも従業員の「宗教」に配慮することは、どのような意味をもつのでしょうか。
先述の通り、宗教は深層的ダイバーシティに含まれます。
宗教的なルールや戒律に適したオフィスであれば、より多様で多くの人の採用と活躍につながります。
宗教は個人のアイデンティティに大きな影響を与えるものですが、
生活習慣そのものを定義する規範となっているケースもあります。
日々の生活における義務や禁止事項を遵守することは、信徒の人生にとって極めて重要な要素です。
ワークプレイスにはそれを踏まえた配慮が求められます。
たとえば、イスラム教には毎日、夜明け前、昼、午後、日没時、夜の5回の礼拝をおこなう教えがあります。
礼拝は仕事中であってもおこなわれ、イスラム教国では職場内に礼拝用の場所が定められていることも珍しくありません。
イスラム教徒の従業員にとって働きやすい環境を想定すると、
オフィスへの礼拝所の設置が求められるでしょう。
また、社員食堂におけるハラール食(イスラム法に則った食物。豚肉など禁じられた食材もある)の提供も重要です。
企業文化に合う人材の採用は安定的な運営に有効ですが、
多様な人材を採用し新たな価値観や文化を取り入れていくことは組織に今までにない視点をもたらしてくれる可能性があります。
多様な宗教への理解や配慮を負担とみなすのではなく、
新たな視点を取り入れると捉える姿勢をもつことが、企業の長期的な成長にもつながると考えられます。
●カームダウン・クールダウンエリアを設ける
精神障がい者や発達障がい者だけでなく誰でも、
心を落ち着かせてパニックを防ぐ、リラックス・リフレッシュするための「カームダウン・クールダウンエリア」を設けることも、
ダイバーシティ&インクルージョンの実施として有効な手段です。
カームダウン・クールダウンエリアは、
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会をきっかけに生まれたスペースの概念です。
オフィス内では業務のため会話や騒音、人の移動などが発生しますが、
その情報量の多さがストレスとなり大きな負担を感じたり、パニックになってしまったりする人も居ます。
そうした際に外界の情報を遮断し、
落ち着くための空間としてカームダウン・クールダウンエリアが求められているのです。
具体的には、照明が暗く、パーテーションなどで仕切られた個室のような空間を用意することが求められます。
外部からの視線や音をシャットアウトし、一人で落ち着ける空間であることが大切です。
●社内制度を見直す
ダイバーシティ&インクルージョンには、オフィスデザインに加え、
人事評価や人材配置などの社内の制度を見直すことも重要です。
多様な人が働きやすい制度の設置はもちろん、正当な評価を与えていくことも求められます。
労働時間の長さだけで評価していると、育児や介護のために時短勤務をしている人を公平に評価できなくなってしまいます。
多様な働き方を認めるためにも、人事評価においては労働時間の長さ以外の要素を評価項目に加えることが大切です。
設定された目標の達成度や、成果も重視するようにしましょう。
目標達成や成果を基準とした評価方法であれば、短時間の勤務で結果を出している人を適切に評価できるようになります。
柔軟な働き方を可能とする制度の設置とともに、人事評価の見直しもおこないましょう。
また、年齢や社歴に囚われない、能力重視の人材配置が重要です。
マネジメント層が個々人の得意・不得意を理解し、適材適所の配置をおこなうことで、
人材のスキルや経験を最大限に発揮できるようになります。
育児や介護経験者の知見を活かした商品開発や、
海外出身者の主導による国外市場での自社事業展開可能性の検討などは、イノベーションの促進にもつながるでしょう。
6.ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み方、浸透させるポイント
自社でダイバーシティ&インクルージョンに取り組み、浸透させるためにどうすればよいでしょうか。
まずは、全社的な周知と理解を進めていきましょう。認知のないままオフィスや制度の変更に取り組んでいくと、反発の原因にもなりかねません。
例えば、従来の評価基準や人事制度が変わることで、一部の従業員から不公平感が生じる可能性は否定できません。
また、従業員同士の価値観の相違によるトラブルやハラスメントの発生もリスクとしては想定できます。
ダイバーシティ&インクルージョンの達成にはオフィスに在籍する人、全員が変化しなければいけません。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進によって従業員一人一人が疑問を持ったり、
不利益や不安を感じたりすることに対して、しっかりと答えてケアをしていくことがとても大切です。
具体的には、社内報やセミナーなどを実施し、自社におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の目的やメリット、
オフィスや制度の変更点を周知することが求められます。
自社におけるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを全従業員に漏れなく周知し、
理解を得たうえで施策を進めていくように努めてください。
まとめ
ダイバーシティ&インクルージョンは、多様性を受け入れ、企業の成長を目指すための取り組みとして欠かせないものとなっています。
グローバル化や価値観の変化、人材不足といった社会の変化に適応するためにも、
ダイバーシティ&インクルージョンの推進を検討していきませんか。
オフィスにおけるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みで、
働き方や働く環境を見直すことでより多くの人が働きやすく、
イノベーションを生み出しやすいオフィスを実現できれば、自社の未来にとって、よい効果を期待できるでしょう。
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